精神疾患について考察するブログ

自分が患っている精神疾患を中心に、それらの疾患や患者とどうやって向き合っていけば良いかを考察します

うつとセロトニン

うつに限らず、抑うつ状態の患者の脳内ではセロトニンが不足しているといわれており、それが抑うつ状態を引き起こす大きな原因だと考えられています。抗うつ剤には選択式セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)など、セロトニンに作用する薬が多いのもそのためです。ところでセロトニンとはいったい何者なのでしょうか?

セロトニンとは

セロトニンは主に生体リズム・神経内分泌・睡眠・体温調節などをつかさどる神経物質です。セロトニンは腸に約90%、血液中に約5%、脳に約5%存在するといわれています。セロトニンは、アミノ酸の一種であるトリプトファンという栄養素を摂取することで、体内で合成される物質です。 

セロトニンの効果

セロトニンは存在している場所によって作用が異なります。腸に存在するセロトニンは、主に消化管の働きに作用し腸の内容物を肛門まで運ぶ蠕動(ぜんどう)運動を促します。血液中に存在するセロトニンは、血管を収縮させて、止血する作用があります。そして一番気になる脳に存在するセロトニンですが、セロトニンは脳内において実に様々な効果を発揮します。

  • 覚醒作用
    セロトニンは血圧、呼吸、心拍等を活動的にする効果があるので、目覚めがすっきりします。
  • 精神を落ち着かせる
    セロトニンは脳内において、意欲をつかさどる神経物質であるドーパミン、ストレスホルモンであるノルアドレナリンをコントロールし、精神を安定させる働きがあります。
  • 姿勢が良くなる
    セロトニンは運動神経を刺激するため、首筋や背骨の周囲、下肢の筋肉、まぶたや顔の筋肉などが刺激され、姿勢が良くなります。また、表情も生き生きとしてきます。
  • 痛みを和らげる
    セロトニンは痛みの伝達を抑制する働きがあるので、脳内でセロトニンが分泌されている間は痛みが緩和されます。

セロトニンと睡眠

日中に分泌されたセロトニンは、日が沈むとメラトニンという神経物質に変化します。メラトニンは別名「睡眠ホルモン」とも呼ばれ、入眠を促す作用があります。そのため日中のセロトニン分泌量が十分でない場合、メラトニンの生成量も減少し、夜の寝つきが悪くなります。

また、メラトニンはテレビ、パソコン、スマートフォンなどの画面から発せられるブルーライトによって減少することが知られています。そのため、寝る直前までこれらのデバイスを見ていると寝つきが悪くなる恐れがあります。さらに、スマホなどから発せられる電磁波もメラトニンを分解してしまうと言われているため、寝る2~3時間前からはこういったデバイス自体を使用しないようにした方が良いでしょう。

筆者の場合、21時頃になったらパソコンやスマートフォンは使わないようにして風呂に入り、その後は部屋の電気は過剰に付けないようにして、本を読んだり紙で書き物をしたりしています。 

No.7 良い睡眠を取るために必要不可欠なホルモン メラトニンとセロトニンを上手に分泌させて良い睡眠を | Sleepdays inc.Sleepdays inc. 

体温が下がることによっても睡眠は促されますので、寝る1~2時間前に41℃以下のぬるま湯で半身浴をすることも入眠を助けます。筆者も夏以外は毎日半身浴をするようにしています。 

セロトニンの増やし方

上述したように、セロトニン抑うつ状態において顕著にみられる症状である「気分の障害」と「睡眠」に直接関わる重要な神経物質です。しかし長期間、過度なストレスに晒された脳内ではセロトニンの分泌が弱っていると言われており、これが抑うつ状態の大きな原因の一つとなっています。脳内のセロトニンの分泌量を増やすのに良いとされているのは以下のような行動です。

セロトニンの原料となる栄養素を摂取する

上述した通り、セロトニンの主な原料となるのはアミノ酸の一種であるトリプトファンです。トリプトファンは以下のような食材に多く含まれています。

トリプトファンを多く含む食品

鰹節、胡麻、魚介類、肉類、乳製品、卵、大豆、ナッツ類

快眠生活の源。「トリプトファン」の効果的ないただき方! | 世界睡眠会議 

体内に摂取されたトリプトファンは、ビタミンB6および炭水化物と合成されて、セロトニンとなります。したがって、ビタミンB6と炭水化物を一緒に摂取するのも重要になります。ビタミンB6および炭水化物を多く含む食品は以下の通りです。

■ビタミンB6を多く含む食品

鶏肉、レバー、バナナなど

■炭水化物

ごはん、パン、果物など 

いずれの栄養素も、取り立てて特別な食材に含まれているわけではありませんね。すなわち朝起きたらしっかりと朝食を食べる、ということが一番重要なことなのです。

1人暮らしや酷い抑うつ状態で朝食もままならないという方にはバナナがお勧めです。バナナにもトリプトファンは含まれていますので、バナナ1つで上記に挙げた3つの栄養素をすべて摂取することができます(※1)。

 

※1:2018/7/5 コメントを受けて追記
バナナ100gに含まれるトリプトファンの量は約10mgであり、肉類、魚類、ナッツ類と比べると1/10以下です。したがって、朝食を食べる習慣付けのとっかかりとしてはバナナは非常にお勧めですが、慣れてきたらよりトリプトファンの含有量が多い食品と一緒に摂取したり、可能であればごはんやパンとおかずと言ったよりしっかりした朝食を食べるようにシフトチェンジしていったりするとよいでしょう。筆者の場合、バナナ、ブルーベリーとチアシードを入れたヨーグルト、そして素焼きナッツ(アーモンド、くるみ)を朝食として食べています。特に調理の必要がないので手軽に摂取できますよ。

 

ここで注意したいのは、セロトニンそのものを摂取しても、脳内のセロトニンは増えないことです。脳の入り口には血液脳関門という関所のようなものがあり、脳内に危険な化学物質やウイルス等が入り込まないようになっています。トリプトファンはこの血液脳関門を通過できますが、腸で生成または吸収されたセロトニン血液脳関門を通過できないため、直接セロトニンサプリメントなどで摂取しても脳には届かないということです。また、多量のセロトニンは下痢の原因にもなり、腸内環境の悪化は抑うつ状態の悪化に繋がりますので、サプリメントで直接セロトニンを摂取することは避けましょう。

太陽の光を浴びる

セロトニンは、トリプトファンなどの栄養素を取るだけでは必要な量が分泌されません。朝起きて、太陽の光を網膜で感じることによりセロトニン神経が刺激され、セロトニンの分泌が活性化します。

セロトニン神経を刺激するためには2500~3000ルクスという、照明器具では足りない明るさの光が必要になるため、朝起きたらまずカーテンを開けてしっかりと太陽の光を浴びましょう。窓の大きい部屋であれば、カーテンを開け、窓際で外を見ながら朝食を取るだけでも十分でしょう。

リズム運動

「リズム運動」とは、同じ動きを繰り返し行う運動で、これもセロトニン神経を刺激する効果があります。ウォーキング、サイクリング、カラオケ、腹式呼吸などが挙げられますが、食事をよく噛むこともリズム運動に成り得ます。

一つ注意すべきことは、これらの運動はある程度の時間(5分~30分程度)継続しないと効果がないことと、疲れを感じるほど実施すると今度はかえってセロトニンの分泌量が減ってしまうことです。

筆者の場合、毎日の散歩をリズム運動の軸に据えて生活をしていますが、調子が良い時は少し早歩きで歩幅も大きめに、逆に調子が悪かったり疲れが残っている時はゆっくりと歩幅も小さめにあるくことを心掛けています。

グルーミング

グルーミングとはいわゆるスキンシップのことです。信頼できる人やペットとスキンシップをすることで、安心や幸せを感じるオキシトシンという神経物質が分泌されます。オキシトシンにはセロトニンの分泌を誘発する働きがあるため、間接的にセロトニンの分泌量を増やすことができます。

家族や配偶者がいる方は、肩揉みなどをしてもらうだけでも良いでしょう。ペットを撫でてあげるのも効果が高いようです。

筆者の場合、残念ながら誰かに気軽にスキンシップをしてもらえる環境にありません。しかし、オキシトシンは家族や友人と面と向かって会話をするだけでも分泌されるようです(メールやLineなど文字だけのやり取りだけではダメのようです)。ですので、病院に行くついでなどで、家族や友人と会えるチャンスがあるときにはなるべく会いに行くようにしています(ただし疲れを残さない範囲で!)。

笑う

セロトニンは別名「幸福ホルモン」とも呼ばれ、好きなことや楽しいことをしていると分泌されます。また、そのような楽しい気分自体を作ってくれます。抑うつ状態の時に笑うというのはかなり難しいことですが、筆者の場合、少しくらいの落ち込みだったらYouTubeニコニコ動画などで笑える動画を探して無理やり笑うことにしています。それを見ている間は調子を崩す原因となったトラブルのことも忘れられるので、一石二鳥です。最近ハマっているのは「ボケて」というサイトです。

bokete.jp

誰かが投稿した写真や画像に対して、別の誰かがボケを入れるというだけのシンプルなサイトですが、たまに非常にうまいボケがあって面白いです(投稿される画像などについては、著作権等でいろいろと問題があり、物議をかもしているサイトではありますが・・・)。

まとめ

今回紹介したセロトニンは、抑うつ状態に直接関わる重要な神経物質です。一度セロトニンの分泌が弱まってしまうと、それが正常に戻るまでには3か月はかかるとも言われています。また、仮に正常に戻っても、過剰なストレスに晒されることでまた分泌が弱くなってしまいます。

もし、今回紹介したセロトニンの分泌量を高めるための数々の施策を行おうと考えていただけた方については、是非、継続して行って欲しいと思います。

セロトニンについては有田秀穂という方が研究の第一人者で、「セロトニンDojo」というサイトも運営されているようなので、もしより深く知りたいという方は、一度参照されると良いと思います。

セロトニンDojo 公式サイト

 

■参考文献

fuminners.jp

 

抑うつ状態とは何か

うつや双極性障害等の病気の種類に関わらず、抑うつ状態が長く続くのは本当に辛いものです。前回のブログで、「抑うつ状態」とはうつや双極性障害といった「病気」の「症状」の一つであるという説明をしました。

ところで、「抑うつ状態」とはどんな症状なのでしょうか?症状とは、病気が原因で引き起こされる身体反応のことでしたね。

実は「抑うつ状態」とは、それ自体が複数の症状を包含した表現なのです。つまり「抑うつ状態」では複数の身体的・精神的反応を示します。ここでは、その中でも筆者が経験したことがある代表的なものを列挙します(これ以外にも頭痛やめまいなど様々な症状が報告されています)。

  • 気分の落ち込み
  • 意欲の低下
  • 思考力・集中力の低下
  • 自尊心の喪失
  • 自殺願望
  • 食欲の低下または増加
  • 睡眠リズムの異常
  • 倦怠感・疲れやすくなる
  • 性欲の低下
  • 便秘

ところで、このブログは「患者の関係者(家族、友人、同僚など)」も読者になっていただけることを前提にしている、と「はじめに」でも述べました。

実際に「抑うつ状態」を体験したことがない方は、これらのような症状を文字として列挙しても、何がどれくらい辛いかがイメージできないと思いますので、筆者の例をいくつか挙げてみたいと思います。

気分の落ち込み

とにかく憂鬱で悲しい気持ちになります。生きること自体が苦痛に感じられ、自殺願望に繋がることもあります。

筆者は最近、自分の気持ちの安定や生きる意思の向上のため、藤田麻衣子さんの「あなたは幸せになる」という曲を良く聴くようになりました。この曲は自分の病気を理解してくれる人、自分をサポートしてくれる人があまり多くない筆者にとって本当に頼りになる応援ソングなのですが、「気分の落ち込み」が激しい時に聴くと、逆にその歌詞を聞いていて絶望的な気持ちになることがあります。

例えば「あなたは幸せになる だってつらいこと たくさんがんばった」という歌詞があるのですが、気持ちが安定している時は前向きに受け取れるこの歌詞が、気分が酷く落ち込んでいる時には「こんなに辛いことを沢山頑張ってきたのに、全然幸せになれないじゃないか!」という風にしか捉えられなくなってしまいます。特に酷い時には、それが原因で涙が止まらなくなってしまいます。

意欲の低下

「低下」と書きましたが、実際は「喪失」に近い感覚です。本当に何もやる気が起きなくなります。

筆者が初めて休職の診断を受ける直前のことです。会社には何とか這いずって出社したのですが、パソコンの電源を起動してから何もできません。まずメールチェックをしなくてはと思うのですが、メーラーを起動してから一通目の未読メールを開くまでに30分かかってしまいました。

意欲の喪失対象は仕事に限りません。筆者は暇があればゲームばかりして生きてきた人間です。学生時代(特に大学生の頃)は宿題をしている、友人と会っている以外の時間はほぼゲームをし続けていました。食事や歯磨きもゲームをしながら、という位のゲーム好きです。社会人になってもあまり変わらない生活を送っています。

そんな筆者が、「抑うつ状態」が出てしまうとゲームすらできなくなってしまいます。やりたいと思わなくなるどころか、無理してゲームを起動してもゲームをやること自体が苦痛で全く先に進めなくなります。

思考力・集中力の低下

筆者は人並み以上には頭の回転が速い方だと良く言われます。相手が言おうとしていることを、相手が説明しきる前に理解してしまって結論を私が先に言ってしまうので傾聴力がないなどと、ビジネススキルのテストなどでよく指摘を受けていました。

そんな筆者ですが、「抑うつ状態」が出ると何も考えられなくなります。相手の言っていることを話し終える前に理解するどころか、話の内容を理解するのにもものすごい体力を使うようになってしまいます。食べるものを買うためにスーパーに出かけても、何を食べるかを決断することさえできなくなり、何十分も総菜コーナーの前で立ち尽くしていたこともありました。

自尊心の喪失

自分の将来に希望が持てなくなります。また、このような状況になってしまったのは自分のせいだと必要以上に自分を責めるようになってしまいます。自殺願望に発展することもあります。

やる気もなく、何も考えられないのだから、悲観的なことも考えられなくなってくれればいいのですが、困ったことにこういった悲観的な感情は逆に次々と頭の中に浮かんでくるので、それがものすごく不思議なことだと感じています。

自殺願望

恐らくこの症状は、他の症状によって自尊心が深く傷つけられた結果として発生するのだと個人的は思っています。

自分の無力さ、将来に対する絶望、自責の念などの様々な負の感情が渦巻いた結果、自分を大切にしようという感情がどんどん希薄となり、最後には自殺したくなるという流れです。

筆者自身も「抑うつ状態」が強い時には、道路でこちらに向かって走ってくるトラックや、駅のホームでやってくる電車に飛び込んだら楽になれるかなあ、なんて考えてしまうことが度々あります。一番危なかった時には、遺書を書き終えて、マンションの自宅(9階)からもう少しで飛び降りようかというところまで追い詰められたことがありました。この時は夜の20時くらいだったのですが、電話カウンセリングにたまたますぐに繋がり、カウンセラーの方に話を聞いていただけたおかげで何とか気持ちを落ち着けることができましたが、あの時カウンセラーにすぐに電話が繋がらなかったら、今頃どうなっていたかわかりません。

食欲の低下または増加

これも大変不思議なことなのですが、「抑うつ状態」になると食欲がまったくなくなってしまう人と、食欲が異常に促進される人がいるようです。

筆者は前回のブログでも少し説明した通り、食欲が増加するタイプです。常に何かを食べていないとイライラして我慢できなくなります。一日三食、満腹になるまでがっつりと食事をしているのに、毎日おやつとして明治の「エッセルスーパーカップ」を五個食べるなどということは日常茶飯事でした(ちなみにエッセルスーパーカップは一つ当たり約300キロカロリーあります)。

これについては別の機会があれば説明したいと思っていますが、「糖質を取るとまた糖質が取りたくなる」という糖質の中毒性も関係していると思われます。食事で糖質制限を始めてからは、こういったバカ食いを起こすことは少なくなりました。どうしてもおなかが減ったときもナッツやチーズなど、糖質が少ないものを食べることで凌いでいます。

病気になる前には65kg以下だった体重が、病気になってから三か月と経たずに75kg以上に増えてしまったのですが、今では70kgくらいまで減らすことができています。

睡眠リズムの異常

これも食欲と一緒で人によって出てくる症状が異なるようです。主な症状は寝つきが悪くなる(入眠障害)、夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)、朝早くに目が覚める(早朝覚醒)、寝ても疲れが取れない(熟眠障害)、1日中眠いまたは寝ている(過眠)などです。

筆者の場合、普段は入眠障害中途覚醒早朝覚醒、熟眠障害がメインの症状ですが、「抑うつ状態」が酷くなったときは、逆に一日12時間以上寝てしまうなど過眠気味になることがあります。

倦怠感・疲れやすくなる

この症状はすぐに出やすく、そしてそれが原因となって他の「抑うつ状態」のトリガーとなってしまうため、ある意味一番苦労させられるものです。

筆者の自宅は74平米の2LDKなのですが、そこに掃除機をかけただけでまるでフルマラソンをしてきたかのように疲労してしまいます。

ちなみに筆者は健康な頃、1週間に2~3回ジョギングをしていて、1回あたり大体10km位を1時間前後で走っていましたが、その時をはるかに上回る疲労感であるため、体験したことのないフルマラソンと表記しました。フルマラソンを完走したことがある人にとってはそれ以上の疲労感になると思います(例えばトライアスロン完走とか)。とにかく、自分が人生で体験したことのないような疲労感に襲われるということです。

抑うつ状態」を抱えながらもなんとか出社していた頃、片道1時間くらいの出張の日は、帰りにこのとてつもない疲労感に襲われ、帰ることが本当に辛かった記憶があります。高価な栄養ドリンクや酒を飲んで何とか騙し騙し乗り切っていましたが、今思うとあの頃、私の病気は既に限界を超えていたのだと思います。

余談ですが、このような疲労感に襲われている時にアルコールを摂取すると嘘のように疲労感が消えてしまいます。実際に疲れているわけでなく、脳のどこかが誤作動して偽りの疲れを感じているところにアルコールが入ることでその機能が麻痺するのだろうと推測できますが、そもそも「抑うつ状態」の患者にとってアルコールは基本的に禁忌ですので、くれぐれも真似をしないようにお願いします。アルコールを摂取することによって眠りが浅くなり、熟睡できなくなるため疲れが取れなくなるためです。また既に治療を始めている場合、大抵の抗うつ薬睡眠薬は、アルコールと一緒に摂取すると効果が増強されたり、薬の依存症が出てしまったりします。

※真偽のほどは定かではありませんが、女子高生に強制わいせつを行った容疑で書類送検された元TOKIO山口達也双極性障害だという噂があるようです。ロケの時に酒臭かったことが度々あったと言われているのにアルコール中毒という診断がなかったということですが、双極性障害の「抑うつ状態」からくる耐えがたい疲労感を消して何とか日々の仕事をこなすために酒に溺れていたのかも知れませんね。もちろん、だからと言って彼のしたことが許されるわけではありませんし、彼を擁護するつもりはないですが。

性欲の低下

これについては筆者の場合、30歳の頃から病気になったために年齢による衰えもあると考えられるためあまり具体的な例が出せませんが、一つだけ顕著な思い出があります。

二つ目の精神科(現在の主治医)に通い始めた時、薬の種類と分量が少し変わりました。その時に処方され始めたドグマチールという抗うつ薬に「性欲減退」の副作用があり(一部を除いたほとんどの抗うつ薬にはこの副作用があります)、これを飲んでいる間、EDのような状態になってしまったことがあります。朝立ちしないのは当たり前で、それどころかいくら刺激を与えても全く勃たなくなりました。この時はそのことに絶望して自殺願望が出てきたことを今でもよく覚えています。

便秘

筆者は子供のころからお腹が弱く下痢体質でした。冷房にも弱く、夏でも会社や電車ではひざ掛けやウインドブレーカーは欠かせません。そんな筆者ですから、生まれてから「抑うつ状態」になるまで便秘というものを経験したことがありませんでした。

ところが今では、強いストレスを受けて「抑うつ状態」になると、便秘をするようになりました。便意自体は催すのですが、いざ出してみるとウサギの糞状態になります。酷い時には鉛筆よりも細い便しかでなくなることもあります。

腸は自律神経の塊であり、ストレスの影響を受けやすい臓器であるため、強いストレスを感じると腸が緊張状態になって収縮することから発生するようです。なるべくストレスの元から離れたり、ストレスを受けてしまったら早めに気分転換(筆者の場合昼寝など)したりすることが効果的です。

また、普段から食事に食物繊維(野菜、海藻)を多く取り入れることで少しでも予防になればと思っています。

まとめ

いかがだったでしょうか?一言で「抑うつ状態」と言ってしまうとなんだかあまり深刻さが伝わらないと思いますが、「抑うつ状態」の患者は、非常に多くの身体的・精神的な異常と毎日闘っているのです。それぞれの症状が複雑に絡み合って、負のスパイラルに陥りやすいのも特徴だと思います。

 

例)
「睡眠リズムの異常」で疲れが取れなくなり、「意欲の低下」「思考力・集中力の低下」が起こる。これによって「気分の落ち込み」「食欲の低下または増加」「性欲の低下」などが発生し「自尊心の喪失」に繋がる。最終的に「自殺願望」を訴えるようになる。ますますストレスを感じて睡眠リズムが狂う・・・。

 

そのため「抑うつ状態」を効率的に改善するためには、負のスパイラルを断つため、これら複数の身体的・精神的症状に同時にアプローチするべきだと個人的には思います。大半の場合は投薬が主な対処方法となりますが、それでもカバーしきれない症状については精神療法や食事療法などを併用する必要があります。

また「抑うつ状態」の改善には数か月から年単位の時間がかかります。その間、調子が良くなったと思ったらまたすぐに悪くなって・・・ということを繰り返します。調子には波があり、風邪などのように直線的に回復することはありませんから、諦めず治療に取り組み続けましょう。

うつと食品添加物

筆者は双極性障害II型、パーソナリティ障害、適応障害と診断されていますが、うつ病ではありません。しかし上述した疾患の症状として「抑うつ状態」を感じることは多々あります(むしろ発病してからの大半の期間を「抑うつ状態」で過ごしています)。

うつと抑うつ状態については、詳しくない方も多いと思うので、本編に入る前に解説しておきます。結論から申し上げますと、うつと抑うつ状態は違います。「うつ」とは病気の名前で、「抑うつ状態」とは症状のことです。わかりづらいという方のために例えを挙げて説明します。

あなたは発熱、のどの痛み、鼻づまりを訴えて病院に行ったとします。診断の結果、風邪と診断されました。このとき「風邪」とは病気の名前で、「発熱」、「のどの痛み」、「鼻づまり」は症状ですね。

注意したいのは、風邪≠発熱であり、また風邪≠のどの痛みであるということです。なぜなら風邪以外の病気でも発熱という症状が起こることがあるからです。身近なもので言えば、「インフルエンザ」や「食中毒」でも発熱することがありますよね?喉の痛みも「扁桃腺炎」などで発生しますし、鼻づまりでしたら一番身近なのは「花粉症」でしょうか。

このように病気と症状とはイコールの関係ではなく、ある病気になったときに発生する(可能性がある ※1)身体反応のことを症状と呼びます。

※1可能性があると注釈を入れたのは、ある病気になったら、その病気の身体症状として定義されている症状がすべて発生するわけではないからです。例えば風邪であれば、上記で上げた症状以外にも例えば腹痛を訴えることもありますよね?ですが風邪になったからと言って必ず腹痛になるわけではありません。

「うつ」と「抑うつ状態」も同じ関係です。「うつ」という病気の主要な症状は「抑うつ状態」ですが、「抑うつ状態」は症状なので「うつ」でなければ発生しないというわけではありません。

筆者の患っている「双極性障害」の症状にも「抑うつ状態」があります(双極性障害躁状態うつ状態を繰り返す病気ですから当たり前ですね)。

さて、解説が長くなってしまいましたが、ここからが本編です。

溢れかえる食品添加物

現代社会では、一人暮らしや共働きにより、なかなか全ての食事を自炊できない環境にあります。そんな中では、スーパーやコンビニの総菜、弁当、インスタント食品にお世話になることが多々あると思います。

しかし、今からあなたが口にする食品の成分表をよく見てください。化学薬品(少なくとも、明らかに食品ではないもの)が入っていませんか?

 

リン酸塩(ナトリウム、Na)、亜硝酸塩(ナトリウム、Na)、安息香酸ナトリウム(Na)、ソルビン酸K、アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)、アセスルファムKカリウム)、調味料(アミノ酸等)、PH調整剤...

 

何も考えず食べたいものを買ってきたのであれば、上記のうち最低でも一つくらいは混入していることがほとんどだと思います。また、調味料(アミノ酸等)というのも、実際には「グルタミン酸ナトリウム」という科学的に合成されたうまみ成分が使われているのです。

この中で、うつに影響を与える可能性があると考えられる食品添加物を挙げていきます。

リン酸塩(ナトリウム、Na)

最もよく目にする食品添加物だと思います。前述した総菜、弁当だけでなく、清涼飲料水、缶詰、ソース類、漬物類、アイスクリーム、練り物、麺類など、ありとあらゆる加工食品で使われています。食品の形状保持、保水、弾力性維持、色調改善、保存料など、加工食品にはなくてはならないあらゆる効果を持つからです。もはやリン酸塩なしには加工食品は成り立たないと言われるほどです。

もともとリンは加工されていない食品にも多く含まれています。そしてリンは骨の原料になるなど、人間の体にとって欠かせない栄養素でもあります。(農業やガーデニングに明るい方は「窒素、リン酸、カリウム」という言葉を聞いたことがあるはずです。これは植物の肥料の三大栄養素ですが、リンは植物の育成にも欠かせないわけです)

しかし、現代社会ではあまりにも多くの加工食品にリン酸塩が使用されているため、過剰摂取になりがちなのです。リンを過剰摂取すると、今度は逆に既に出来上がっている骨の中からカルシウムを奪ってしまい、骨粗しょう症の原因になるといわれています。

また、慢性的にリンを大量摂取していると低カルシウム血症を引きおこし、脳神経細胞を興奮させイライラ・情緒不安定、集中力の欠如の原因になる可能性があります。これらの症状が間接的にうつの原因になる危険性があるのです。

昔からイライラしている人に「カルシウムが足りていないんじゃないの?」と言うことがありましたが、まさにリンの過剰摂取によりカルシウムが足りなくなってしまうわけですね。

 

危険な食品添加物リン酸塩は現代人のリン過剰摂取に影響している!?

食品添加物 リン酸塩とは | オーガニック倶楽部通信

 

亜硝酸塩(ナトリウム、Na)

これは肉や魚の加工食品に多く使われている食品添加物です。使用用途は食品の黒ずみを防ぐ発色剤としてです。

亜硝酸塩は元々毒性が強いことが知られていて、使用量が制限されています。アメリカではベビー用品への使用が禁止されているくらいです。

うつへの影響や致死量が低いことに加え、発がん性も指摘されており、うつ患者でなく健康な方にとっても、なるべく避けたい食品添加物の一つと言えるでしょう。

アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)、アセスルファムKカリウム

アスパルテームおよびアセスルファムKはショ糖の100倍~200倍の甘味を持ち、しかも0キロカロリーの人工甘味料です。最近多いローカロリーまたはノンカロリー食品には必ずと言っていいほど含まれています。

アスパルテームアセスルファムKを1:1で併用すると甘みが増し、その味わいも砂糖に近くなることから、同時に使われていることが多いです。

元々抑うつ状態の時には身動きができなくなって何も食べられなくなる人がいるようですが、逆に常に何かを食べていないとイライラして過食になってしまう人もいます(筆者がこのタイプです)。うつの時に処方される抗うつ薬には「食欲増進」の副作用を持つものがあるため、病気の症状とこの服作用が組み合わさってしまうと、とてつもなく食欲が出てしまいます。筆者は二つ目の精神科(現在の主治医)に通院し始めてから「リフレックス」という抗うつ薬を処方されるようになったのですが、それから3か月も立たず10kg太ってしまいました。

このように抑うつ状態では過食に悩まされることが多いので、体重を維持するためにこれらのローカロリー、ノンカロリー食品は大変ありがたく思えます。

しかし残念ながら、アスパルテームはうつを引き起こすリスクが指摘されています。したがって抑うつ状態の患者がこれらの人工甘味料を大量摂取することは好ましいこととは思えません。

さらに、アスパルテーム不眠症の原因になるという報告もあります。

実際、筆者は体重増加に悩んでいたある時期、「からだカルピス」というノンカロリーの機能性表示食品を毎日飲んでいたことがあります。ノンカロリー飲料ですので当然アスパルテームアセスルファムKが使われていました。独自の乳酸菌に体脂肪を減らす効果があると謳われていたため藁にもすがる思いで飲み始めたのですが、一週間ほど飲み続けた頃からだんだんと夜中に覚醒する回数が増え、また早朝に目が覚めてしまうようになってきました。最初は原因がわからなかったので引き続き飲み続けていたのですが、2週間も経つと全く眠れなくなってしまいました(睡眠効果のある精神薬を大量に服用しているのにも関わらずです)。

何かおかしいと感じていたちょうどその時、たまたまYahoo!Japanだか何かのニュース欄で「アスパルテームに不眠の効果あり」という記事を見つけました。まさかと思いその日から飲むのをやめたところ、三日程度でまたしっかりと寝られるようになりました。

アスパルテーム自体の不眠効果なのか、それとも飲んでいる薬の効果を打ち消してしまっていたのかまではいまだに定かではありませんが、それ以来これらの人工甘味料は一切摂取しないように気を付けています。

調味料(アミノ酸等)

上述した通りこれの正体は主に「グルタミン酸ナトリウム」であり、うまみ成分としてインスタント麺や調味料全般などに使われています。

残念ながら、この食品添加物にも知能障害やうつの原因になる可能性が指摘されています。アメリカでは離乳食での使用が禁止されています。

筆者の場合、健康のために夕食は野菜たっぷりの味噌汁を作って飲んでいるのですが、このとき使用していた「ダシ入り味噌」に使われていました。また同じく健康のために食べていた納豆についているタレにも入っていました。

今では味噌汁は煮干しと昆布からダシを取り、納豆にはオリーブオイルと塩をかけて食べるようにしています。

まとめ

いかがだったでしょうか?普段何気なく口にしているありとあらゆる食品に、うつを悪化させる可能性のある物質が含まれていることがわかりましたね。

もちろんこれらは「可能性が報告されている」レベルのものもありますし、大量摂取しなければ問題にならないというのが国や製造メーカーの見解ではあります。

ただ、抑うつ状態の患者は動くことすら億劫になっており、特に一人暮らしだと自炊など夢のまた夢だったりするので、スーパーやコンビニの総菜、弁当、インスタント食品が主食になっている方が多いのではないでしょうか?(筆者も抑うつ状態が酷い時はそうでした)

結果的に、毎日、毎食のようにこれらの食品添加物を摂取していることが、抑うつ状態をさらに悪化させている可能性は否定できませんので、抑うつ状態の方は大変であっても、自衛のためになるべくこれらの食品添加物を避けるようにした方がよいでしょう。

うつ患者の家族の方については、なるべくこれらの食品添加物を避け、逆にうつに良いとされる食品をなるべく献立に取り入れることを心掛けていただければと思います。うつによいとされる食品については、別の機会に説明したいと思います。

 

危険度レベル「高」。これだけは避けたい、特にハイリスクな添加物リストをまとめました。

しつこい疲れは副腎疲労?とりたい食材、避けたい食材|ヘルスUP|NIKKEI STYLE

http://hirogon-i.com/symptomscat/post-2175/

双極性障害II型の厄介な点

前回のブログでも触れた通り、双極性障害II型はI型と違って入院が必要ないからと言って甘く見ていいものではありません。 

むしろI型と違って確定診断に時間がかかったり、あやふやになったりしがちなため、その間適切な治療が受けられずにどんどんと症状が悪化していくことが多いという点では、ある意味I型よりも厄介かも知れません(I型のほうが気楽だと主張したいわけではありません。I型にはI型特有の、II型にはII型特有の苦しみがあるということです)。 

誤診による薬物躁転

一番怖いのは普通のうつ病と誤診され、双極性障害の患者には処方してはならない抗うつ薬を処方されてしまうことです。そして、困ったことにそのようなケースが実際に起こりやすいのが、現状なのです。 

双極性障害は、かつて「躁うつ病」と呼ばれていたように、躁状態抑うつ状態を繰り返す病気です。一方でうつ病はその名前の通り、その主な症状は抑うつ状態であり、躁状態になることはありません。 

抗うつ薬には様々な種類があります。その中でもアモキサンのような「三環系抗うつ薬」というタイプの抗うつ薬双極性障害の患者が服用すると、抑うつ状態から一気に躁状態に遷移してしまうことがあります(薬物躁転)。 

www.comhbo.net

躁状態が続き、その間にエネルギーを使い果たすことによって抑うつ状態になってしまうわけですが、薬の効果でエネルギーが回復したわけでもないのに躁状態に戻ってしまうわけです。傍目からは薬が効いて回復したようにしか見えません。 

本人も回復した喜びと、躁状態の充実感から、再び無茶な行動をし始めるでしょう。その後すぐに抑うつ状態に転落するのは、目に見えています。 

精神疾患のエキスパートである精神科の医者に診断してもらったにもかかわらず、なぜそのような誤診が起こりやすいのでしょうか?そこが双極性障害II型の怖さの一つです。 

なぜ誤診が起こるのか

双極性障害II型の患者の躁状態は、若干異様ではあるけれど、周囲が病院の受診を薦めるほどの異常ではないことがほとんどです。そして、患者本人が躁状態の出だしの頃は調子が「絶好調」だと思っています。病気だという自覚がないのです。 

そのため、いざエネルギーを使い果たして抑うつ状態になり通院した際、躁状態にあったことを話せる人が少ないのだと思われます。躁状態にあったことを医者が知らなければ、現状の病状だけを見て「うつ病」などと診断せざるを得ません。 

ここで医者が『過去に躁状態と思われる期間がありましたか?』等、注意深くヒアリングしてくれ、患者がそうと疑わしき症状があったことをきちんと伝えられれば、医者も双極性障害を疑ってくれるでしょう。 

しかし、患者本人が躁状態の時のことを異常だと感じていなければ、恐らく医者に正しい情報が伝わりません。こういったミスマッチが起こっているのだと思われます。 

実際に筆者自身もこれまでに三つの病院に通ってきましたが、一番最初に通った病院では「うつ病」と診断されてしまいました。 

余談ですが、後日、障害年金請求のためこの病院を訪れて、初診日証明のための診断書(受診状況等証明書)を書いてもらった時には、病名は「適応障害」に変わっていました。同じ病院なのに病名がころころと変わるのも問題なのではないかと個人的には思います。 

病気だという自覚がないことによる弊害

筆者自身、調子を崩す前の半年~一年程は、他人では到底できないような量と質の仕事をほぼ完璧にこなし、その合間に国家資格である「基本情報技術者試験」の最上位資格である「プロジェクトマネージャ」と「ITストラテジスト」という二つの難関試験に両方とも一発合格してしまいました。 

自慢話になってしまいますが、これらの試験の合格率は10%程度、合格者の平均年齢はいずれも30歳後半ですが、筆者は合格当時満30歳でした。 

それだけでは飽き足らず、起業を検討してみたり、ひたすら友人と飲みに行ったり・・・。今考えるとぞっとする量の行動をしていました。しかし、当時はそんなことができてしまう自分に完全に酔っており、自分が病気だとは夢にも思いませんでした。 

プライベートでの無茶を考慮せずとも、当時の筆者の仕事量は尋常ではなく、何度も会社の産業医に呼ばれて面談をしましたが、その度に『何も体調に問題はありません』と回答していたのを覚えています。 

そしてそのうちエネルギーが切れ、だんだん体力や集中力が続かなくなってくるのと引き換えに、心身に異常が現れ始めます。 

筆者の場合、一番最初におかしいと感じたのは、入社以来10年間もほぼ毎日社員食堂で一緒に夕食を共にしていた同僚のいつもの言動に、腹が立ち始めたことでした。 

彼の言動は元々、客観的に見て若干つかみどころがない印象がありました。しかし健康な頃は、それが彼の個性でありむしろ魅力であると感じていたのです。それなのに体調を崩し始めた頃は、彼の言動が許せなくなっていました。 

「なんで真面目に受け答えしてくれないのだろう」、「なんてそんなのらりくらりしているんだ」という気持ちが沸々と湧いてきてしまうのです。 

もちろん、彼の言動は筆者自身が体調を崩す前後で全く変わっていなかったと思います。変わってしまったのは筆者自身です。ですが、この時もまだ病気だという実感はありませんでした。 

結局、彼と夕食を取るという、10年間も続いた習慣はなくなってしまいました。そしてそのうち彼は異動してしまい、それ以来連絡を取り合うこともなくなってしまいました。 

双極性障害型II型の恐ろしい所はこういうところです。病気だという自覚がないうちに、人間関係など、様々なものを失ってしまうのです。 

そして、いよいよ自分は病気ではないのか?と疑い始め、通院を始める頃には病状や人間関係を含めた社会的地位はかなり悪い状態になっているでしょう。 

まとめ

上記に挙げたように双極性障害II型は、誤診、処方されてはならない薬物の服用、社会的地位の喪失など特有の危険なリスクをいくつも孕んでいます。 

良い方向であれ、悪い方向であれ、少しでも「いつの自分と違うな?」と思った時には、精神科に通院するとまではいかなくとも、家族や友人に「自分、普段と何か違わないか?」と尋ねてみたり、会社で産業医保健師、カウンセラー等と相談できる機会があるのであれば、相談してみたほうがよいでしょう。手遅れになる前に、手を打てるかも知れません。 

また逆に、身近な方が「何か普段と違う」、「普段より活動的だ」と思ったら、やはり医者やカウンセラーに相談してみることをお勧めします。 

ここで注意したいのは、本人には病気だという自覚がないどころか絶好調だと信じているため、本人に『最近のあなたは何かおかしい』と伝えたり、本人に直接医者やカウンセラーにかかることを勧めたりしても、まず意味がないだろうということです。 

まずは異常に気付いた方が、外堀を埋めるように少しずつケアしてあげることが大事だと思います。

双極性障害II型の診断の難しさについて

筆者はこのブログを執筆時点で、「適応障害」、「双極性障害II型」、「パーソナリティ障害」の3つの疾患を併発していると「はじめに」でも述べました。 

筆者は現在、とある理由で2つの別々の精神科に通っています。1つは近所の精神科で、こちらが基本的に主治医で、かれこれ3年ほど通院を続けており、薬の処方をしてもらっています。 

もう1つの精神科はセカンドオピニオンを聞きに行くために伺ったのですが、そちらの病院では「薬に頼らない治療」をコンセプトとしており、投薬を最低限に抑え、それ以外の多種多様な方法を最大限活用して、各種精神疾患の症状を抑えるという治療をメインにしており、それらの中でいくつか試してみたいものがあったために、2つ並行して通院しているという状態です。 

2つの病院に通院していることや、「薬に頼らない治療」などの情報は今回のブログの主題から外れていますので、詳細は別の機会があれば書きたいと思います。 

今回主張したいことは、 

主治医とセカンドオピニオンをいただいた医者との間で症状の見解や治療方針が異なっており、それらをすり合わせた結果、初めて正しいと思える診断結果が得られた 

という事実です。 

主治医とセカンドオピニオンをいただいた医者との間で症状の見解や治療方針が異なっており、それらをすり合わせた結果、初めて正しいと思える診断結果が得られた 

主治医にはかれこれ3年以上お世話になっていますが、初診から今年(2018年)の5月にセカンドオピニオンをいただくまでの間、私の病名は「適応障害」ということになっており、「双極性障害II型の疑いあり」が但し書きで付いているという状態が続きました。 

適応障害」については、下記のリンクで公表されている通り皇太子妃雅子様が罹患しているご病気ということで、ご存知の方も多いのではないかと思います。 

皇太子妃雅子様のご病気について

公表事項 - 宮内庁

 詳細については、はてなキーワードでも参照できるため割愛しますが、ざっくり説明してしまうと「適応障害」とは以下のような特徴を持つ病気です。 

  • 外部からのストレスが原因で発症する
  • 症状としては抑うつ状態、不安感、意欲や集中力の低下、イライラ、頭痛、めまい、動悸、倦怠感などが挙げられる
  • 無断欠席や無謀な運転、喧嘩、物を壊すなどの社会的に問題のある行動を起こすこともある
  • ストレスとなる状況や出来事がはっきりしているので、その原因から離れると、症状は次第に改善する(重要) 

外部のストレスに耐えられなくなって発症するため、原因のストレスから離れれば症状は比較的短期間で改善するというのがこの病気の特徴です。

 皇太子妃雅子様の例で言えば、宮内庁内部での確執が原因で発症したともいわれていますので、宮内庁から離れてしまえば回復してしまうはずですが、立場上そのようなことは簡単にできないため、長期間苦しんでおられるのだと推測できます。 

皇太子妃雅子様の例はさすがに特殊すぎるため筆者の話題に戻りますが、筆者の場合は6年ほど前に仕事中のストレス(過労、人間関係)が原因で発病しました。 

それでも最初の3年間は有休を多めに取ったり、栄養ドリンクを大量に服用したりなどで騙し騙しやってきたのですが、それも限界に達し、後半の3年間は調子を大きく崩す度に3か月や6か月という期間、会社を休職して療養に努めてきました。 

また、復職時は4時間半や6時間半といった時短勤務に加え、業務の内容も復帰前と比べてはるかに軽く、また多くの人との関りが必要ないものをあてがっていただくなど、会社には最大限の配慮をしていただきました。(特に、一番人間関係でトラブルが多発していた人は異動となり、既に関わり合いがなくなっていました) 

しかし、それでも症状はなかなかよくなりません。1年などというかなり長い期間をかけてようやく健康な頃の50~60%くらいまで回復してきたかなと思うと、健康な頃には何でもなかったような些細なトラブルですぐに調子がどん底に落ちてしまう、ということを繰り返しています。 

これは明らかに適応障害」ではないと思いました。発症した頃の過度なストレスには全く晒されていないからです。「適応障害」の側面もあるにしても、これだけ長く苦しみが続く原因は「適応障害」だけではないはずだ、という結論に筆者自信が至ったのです。 

その一方で、「双極性障害II型」であるという確証も持てませんでした。「双極性障害」とは、一昔前までは「躁うつ病」と呼ばれていた病気で、躁状態うつ状態を繰り返すことが特徴です。 

躁状態と聞くと、「躁(そう)」という響きから、なんだか気分が爽快な状態なのではないか、と思う方もいらっしゃるかも知れませんが(恥ずかしながら筆者がそうでした)、実際は躁というのは「せかせかとさわがしい。あわただしい。さわぎまわる。さわぐ。」という意味です。要するに落ち着きがなくなります。 

双極性障害」にはI型とII型が存在し、I型の場合、躁状態になると入院が必要になるくらい行動がおかしくなります。夜中に突然家を出て行ったり、やはり夜中に友人に電話をかけまくったり、中には若い女性の患者さんが病室内を裸で飛び回ったりするケースもあるそうです。こういった極端な躁状態になるのがI型の特徴です。I型であれば明らかに異常であるため、病院に行くことが多く、そしてそこでI型の診断を貰うことが多いようです。 

それに対して、II型は入院を要するほどの極端な躁状態になることがありません。であれば問題ないのでは?と思われるかもしれませんが、実際はそれほど簡単な話ではありません。I型ほど躁状態が極端でないため、躁状態で病院に行くということがほとんどありません。しかし、II型の躁状態でも、明らかに周りから見て異様な行動をとり始めます。筆者も体験した代表的な症状の例を挙げると 

  • 自尊心の肥大:なんでもできるような気持ちになる。また、次から次へと画期的なアイデアが生まれてきて、それを実践しようとしてしまう
  • 社交性の増加:急に他人との交流が多くなる
  • 浪費:不要なものに大金を使ってしまう
  • 睡眠時間の減少:睡眠をとらなくても疲れを感じない
  • 注意力散漫:集中力が続かず、何もかもが中途半端になる。また、些細な刺激でイライラするようになる 

などがあります。突然会社を辞めて起業してみようと思い立ち、計画を練ったり難関資格を取り始めました。起業には人脈が必要だと思い、卒業以来会っていなかった高校や大学の友人や、会社の同僚と遊びに行ったり飲みに行ったりすることが極端に増えました。上司や取引先に理不尽なことを言われたときに、カッとなって暴言を吐いてしまうこともありました。余りにイライラしたときには、帰りの車の中で音楽を大爆音で鳴らしながら、街の一般道で100km/hも出して走行してしまったこともあります。ソーシャルゲームのガチャに数百万円を費やしたり、深夜2時に寝たのに4時前にはもう目が覚めてしまって(しかも全く眠くない)、出社するまでの数時間を資格の勉強にあてたりしました。 

ただし、これらの体験は体調を崩し始めた6年ほど前の1年間のみに見られた症状で、それ以降はこのような極端な状態には一度もなっておらず、それが筆者自身が「双極性障害II型」であるという確証が持てない原因となっていました。 

そのため、別の精神科医セカンドオピニオンを求めることにしました。セカンドオピニオンでも初診の時は「適応障害」という診断結果であり、「うつ」や「双極性障害II型」の可能性は低いだろう、という見解でした。 

しかしその後、前述した「薬に頼らない治療法」を受けるためにセカンドオピニオンをいただいた病院に何度か通院し、診察を受けているうちに『「双極性障害II型」の可能性はやはり捨てきれない』と、セカンドオピニオンの見解が変わりました。 

そして、筆者が現時点で服用している薬の種類について質問され、それに回答したところ、『仮に筆者が「双極性障害II型」だとしたら、私ならばこのよう薬を処方する』というコメントをいただけたのです。 

筆者はすぐに主治医にそのコメントを見せ、「セカンドオピニオンでこのようなコメントを貰いましたが、先生はどのようにお考えですか?セカンドオピニオンの方が間違っていると思いますか?」と質問しました。もし、主治医がコメントを突っぱねて自分の診断の正当性だけを主張するようなら、セカンドオピニオンをいただいた病院への転院も辞さないつもりでした。 

しかし、その時点で初めて主治医から以下のような見解をいただいたのです。

 

双極性障害II型である可能性は非常に高いでしょう。また、それに加えてパーソナリティ障害も併発していると考えています。双極性障害II型とパーソナリティ障害によって日常の些細なことが過大なストレスとなり、それが原因で会社や家族と不適合を起こし、その結果適応障害になっていると考えています。』

 

主治医の病院に通い始めてから3年間、何度問いただしても筆者の病名は「適応障害」であり、「双極性障害II型」はあくまで「疑いあり」という診断しかもらえていませんでしたので、この新たな見解で、私は脳みそが揺さぶられるほどの衝撃を受けました。 

これまでの3年間「適応障害」として取り組んできた治療法は、意味がなかったとまでは言いませんが、問題の根本にアプローチするものではなかったということになるからです。 

最初から「双極性障害II型」(およびパーソナリティ障害)として治療をしていれば、もしかしたら何度も復職と休職を繰り返すという、無駄な3年間を過ごさず、今頃は日常生活に支障がないくらい回復していたかも知れないのです。 

ただし、主治医の名誉のために弁解するわけではありませんが、逆に筆者は今の時点で「双極性障害II型」と診断されたことは、ある意味ではラッキーでもあったとも考えています。 

なぜなら「双極性障害II型」は、正式に診断されるまでには平均で約10年(※1)ほどかかるといわれているほど、診断が難しい病気だからです。したがって筆者の「約6年」というケースは、平均から考えれば早い方だと言えます。 

※1:この年数については書籍やインターネットなどソースによって数値がまちまちであり、正確な値がわかりません。この事実も「双極性障害II型」と正式に診断することがどれほど難しいかを物語っているかと思います。筆者は『双極性障がい(躁うつ病)と共に生きる』(加藤伸輔)という本に記載されている「9.7年」を参考にさせていただきました。 


 

 筆者のケースでは、セカンドオピニオンを活用することで早めに「双極性障害II型」の診断結果を得ることができました。筆者のように、主治医の言うことをきちんと聞いて、薬も服用しているのに一向に良くならないという方は、一度セカンドオピニオンを活用してみてはいかがでしょうか。 

自分が想定している病名で診断してくれる医者が見つかるまで転院を繰り返す、という方法も考えられなくはありませんが、1つの病院で長期にわたって調子の波を記録してもらえるということは、1つのメリットであると筆者は考えます。また、自分が想定している病名が正しいとは限りません(精神科医ですら、同じ患者を診察しても診断が異なってしまうのですから)ので、転院を繰り返しても期待通りの治療が受けられる保証はありません。 

やみくもに転院するよりは、筆者のようにセカンドオピニオンを活用してみて、医者同士の意見をすり合わせて見て、それでも納得がいかないようだったら、初めて転院を考えてみてもよいのではないでしょうか? 

余談ですが、上記で紹介した書籍の著者である加藤伸輔さんも、自身が「双極性障害II型」であるという確信をもっておられたのに、主治医が聞き入れてくれなかったため、双極性障害委員会の委員を務められている先生を調べ、その先生が勤務している病院に転院する、という方法を取られたようです。 

このような方法も有用だと思います。ただし、加藤伸輔さんのように100%上手くいくとは限らないため、その点は留意する必要があるでしょう。

はじめに

筆者は「適応障害」を発症してから約6年、実際に精神科に通院して「適応障害」と診断されてから約3年間、闘病しています。 

その間、会社は病休したり、出社できても4時間半や6時間半などの時短勤務が限界という状態を繰り返していますが、症状は良くなるどころか、最近では「双極性障害II型」だとか「パーソナリティ障害」などと、診断名が増えてゆく始末です。 

このブログではそんな筆者が、それでも何とか健康だった頃の生活を取り戻そうと何を考え、何を調べ、何を実践してきたか、または何を実践しようとしているかを語ってゆきたいと考えています。 

読者としては、同じような境遇に苦しんでいる方だけでなく、そのような方の家族、友人、同僚など(以下、関係者と呼称)を想定していますが、その理由としては以下の二点が挙げられます。 

  1. 上記に挙げたような疾患に関する基本的な情報は、書籍やインターネット上で容易に手に入ることから、同じような境遇に苦しんでいる方々ならば、既にそういったソースからある程度の情報を得ていることが想定されるため、わざわざ筆者のブログを参照する必要性は低いだろうという消極的な理由。
  2. 筆者自身、投薬、生活習慣改善、カウンセリングといった様々な治療法を調べ、実践し、病状が回復に向かうことが何度かありましたが、折に触れて筆者の関係者による何気ない行動、心無い一言、心配からくる余計なお節介などによってまた体調を崩し、治療を振り出しに戻されるという経験を幾度となく体験してきたことから、関係者がこういった精神疾患とその患者のことをどう理解し、どう接するべきか(患者視点からすると、どう接してもらいたいか)を知ってもらうことが、患者本人の治療と同じくらい重要であると思われるという積極的な理由。 

筆者自身、いまだ闘病中であり体調が安定していないため、更新は不定期になると思いますが、このブログを見て参考になった、役に立ったという方が一人でも多くなることを祈っています。