精神疾患について考察するブログ

自分が患っている精神疾患を中心に、それらの疾患や患者とどうやって向き合っていけば良いかを考察します

TMS療法について

筆者は適応障害双極性障害、パーソナリティ障害を患ってから(実際のところ、パーソナリティ障害は健康な頃はその芽を持っている状態でしたが、適応障害双極性障害が発症したことによって併発することになりました)、かれこれ6年前後経ちます。何十年も精神疾患を患っている方からすれば、まだまだ大した期間ではないとお叱りをいただいてしまうかもしれませんが、それでもこの6年間の間に多くのものを失い、そして今後の人生にも希望が持てない状態です。時折、自分は何のために生きているんだろう、このまま生き続けて何かいいことがあるのだろうか、そう自問自答することも多くなりました。しかし元々負けず嫌いな気質もあってか『いつの日か絶対に完治させてやる』という気持ちも、抑うつ状態が強くなったときなどに萎えることはあるにせよ、なんとか持ち続けることができています。今回は、そんな「なんとか治そう」という気持ちで挑んだ1つの新しい治療法について、紹介したいと思います。

TMS療法

TMS療法のTMSとは、Transcranial Magnetic Stimulationの略で、日本語だと経頭蓋磁気刺激法(けいとうがいじきしげきほう)と翻訳されます。

経頭蓋磁気刺激法 - Wikipedia

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何やら難しい名前ですが、簡単に説明すると、これはうつなどの病気で脳の活動が弱った部分に外部から直接磁力を当てて、脳を強制的に活性化させる治療法です。日本では2017年9月に医療機器として厚生労働省から薬事承認され、2018年4月から保険で治療が受けられるようになった最新医療です。副作用が少なく、安全性も高いということですが、何より薬なしでうつが治る可能性があるという画期的な治療方法なのです。ただし、寛容率は約3割強とあまり高くはありません。適応疾患としては以下のような病気が挙げられています(※1)。

 

うつ病双極性障害(躁うつ病)、不安障害、パニック障害強迫性障害PTSD(心的外傷ストレス障害)、慢性疼痛、パーキンソン病、幻聴など

 

※1:TMS療法の適用疾患については現在も研究の道半ばだそうで、上記の疾患については検証の結果「効果が報告されている」という程度の精度なのだそうです。Wikipediaやいろいろな病院のサイトを調べると、適用疾患として載っていたり載っていなかったりするものがあるため、その点は留意する必要があるでしょう。

 

筆者は、今年(2018年)の5月から人生で3度目の休職を余儀なくされ、このままでは本当に職を失いかねないという危機感から、このTMS療法が受けられる病院を探し、そして実際に試してみました。過去のブログで、2つの精神科に同時に通っていると書きましたが、実はそれはこのTMS治療を受けるためだったのです。TMS治療は、うまくいけば10回~30回程で病気が寛容状態となり、それ以後は病気が再発しない限り、通院の必要がなくなります。ただし、TMS治療は基本的に定期的に受けないといけない治療法で、特に最初のうちは週に何回(3日以上)も受けないといけません。あまり感覚が空いてしまうと効果がないそうです。そのため、最大でもわずか2~3月しか通わないかも知れず、しかも片道1時間以上かかる病院にわざわざ紹介状を書いてもらって転院するのも微妙かと思い、主治医にはTMS療法を受けにいくと断った上で、別途その病院に通っていました。

TMS療法の概要ですが、まず初診の際に脳の隅々に磁力を当てて指や腕が自然と反応する部位を探し(そこが弱った部位なのだそうです)、その部位が見つかったら、後はそこに集中的に磁力を当てていくという進め方となります。最初のうちは痛みがする場合があります(筆者も最初は脳の中を直接ハンマーでたたかれているような痛みを感じました)。その場合出力する磁力を弱め、痛みを感じない強さでしばらく脳を慣らします。慣れてくると、磁力を強めても痛みを感じなくなってきます(筆者も2回目以降は痛みを感じなくなりました)。

前述した通り、最初のうちは1週間に何回も受けないといけないので、仕事をしながらという方はこの治療を受けるのは難しいかも知れません。筆者のように休職、あるいは退職してしまったという方で、かつ長年薬を飲んでいるけれども一向に良くならないという方はダメで元々、という感覚で試してみる価値はあるかと思います。残念ながら、筆者の場合は10回ほど試してみたのですが劇的な効果は得られなかったため、現在は先生との相談の末、治療を終了しています。

また、TMS療法は今年から保険が適用できるようになったとは書きましたが、それでもいくつかの病院のサイトを見る限り1回あたり1万円前後するところが多く、料金は決して安くありません(ただし保険認可前は施術できる病院がほとんどなく、数百万程度かかったそうなので、これでも環境は改善されているようですが)。筆者はいろいろな病院を調べ、一番料金が安く、何とか通える範囲にあった神田のBesliクリニックというところに通っていました。

besli.jp

ここであれば1回あたりの料金は4000円程度です。またこの病院の良い所は、TMS療法に限らず、カウンセリング、セロトニンセラピー、タッピングセラピーetc...といった、投薬以外の様々な治療法が提供できるところでしょうか。月に1回ですが、認知行動療法のマインドフルネスの講座を開いたりなど、とにかく治療方法が多彩です。筆者の場合も、この病院に通院を始めた時は抑うつ状態とイライラがずっと続いていたのですが、先生に勧められて受けたタッピングセラピーの後、ぴたりとイライラが止まるという効果を実感できました。TMS療法に効果が見られなかったのは残念でしたが、この病院に来たこと自体は、貴重なセカンドオピニオンを貰えたことや、タッピングセラピーという新たなアプローチを知ることができたこともあり、決して無駄ではなかったと思っています。

ただ1点だけ注意点を挙げるとすれば、院長の先生はとても気さくな方なのですが、人によってはフランクに見えすぎて不快に思う方がいらっしゃるかもしれないなあ、という点でしょうか。この点に関してだけは、その人の物のとらえ方と相性次第なので如何ともし難いですね。

まとめ

今回はTMS療法という、薬に頼らない治療法について紹介しました。また、本ブログを執筆時点で非常に安価にTMS療法を受けられる病院についても紹介しました。ただ、インターネットの検索結果を見る限り、昨年に比べTMS療法を受けられる病院は確実に増えていますので、筆者が紹介した病院以外にも身近なところで治療が受けられるかも知れません。

それでもまだ施術できる病院はあまり多くないこと、時間とお金に余裕がある人に限られてしまうということ、寛容率が3割強と成功率は高くないことなど、数々のデメリットはありますが、それでも藁をも掴む思いの方は、一度試してみてはいかがでしょうか?